■~ほくろについて~
こんにちは!高知市の島崎クリニックの院長島崎です。
鏡を見るたびに、「このほくろ、いつからあったんだろう?」「急に大きくなった気がするけど、これって大丈夫?」と不安に感じたことはありませんか?特に、顔や体に気になるほくろがある場合、見た目の問題だけでなく、健康上の心配も尽きないですよね。
この記事では、多くの人が抱えるほくろに関する疑問を解消すべく、ほくろの種類、できる原因、良性・悪性の見分け方(特に注意すべきメラノーマとの違い)、そして除去を検討する際のメリット・デメリットや治療法まで、皮膚科専門医の立場から網羅的に解説します。この記事を読むと、ご自身のほくろの状態を正しく理解し、取るべき行動が明確になります。ご自身のほくろでお悩みの患者様はもちろん、お子様やご家族のほくろでお悩みなご家族はぜひ最後まで読んでみてください!
ほくろの正体を知る:種類とできる原因
ほくろとは?医学的な定義と種類
ほくろは、医学的には「色素性母斑(しきそせいぼはん)」や「母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)」と呼ばれます。皮膚の色を決めるメラニンという色素を作るメラノサイト(色素細胞)が変化した「母斑細胞」が、皮膚の一部で増殖することでできる良性の病変です。大きさや形、色はさまざまで、茶色や黒色だけでなく、肌色に近いものもあります。
ほくろは、母斑細胞が存在する皮膚の深さによって、主に以下の種類に分けられます。
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境界型のほくろ:母斑細胞が皮膚の浅い部分(表皮と真皮の境界)に存在します。色は黒や濃い茶色で、平坦な形をしていることが多いです。
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複合型のほくろ:母斑細胞が皮膚の浅い部分と深い部分(真皮)の両方に存在します。盛り上がりが少しあり、色も濃いものが多いです。
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真皮内型のほくろ:母斑細胞が皮膚の深い部分(真皮)にのみ存在します。ドーム状に大きく盛り上がり、色は茶色や肌色に近いことが多いです。私の経験上、患者様が「これはずっとあるほくろだ」とおっしゃるものの多くがこの真皮内型であることが多いですね。
ほくろができるメカニズムと主な原因
ほくろができる根本的な原因は、色素細胞であるメラノサイトの異常増殖です。これは生まれつきの体質や遺伝的な要因が大きく関わっていますが、後天的な原因によって新しくできたり、大きくなったりすることも確認されています。
主な原因として挙げられるのは、紫外線(UV)による皮膚への刺激です。紫外線を浴びることで、メラノサイトがメラニン色素を過剰に生成し、その刺激で母斑細胞が増殖しやすくなります。実際に、紫外線を多く浴びる機会の多い場所にほくろができやすいことが分かっています。また、ホルモンバランスの変化(思春期や妊娠中など)もほくろの発生や増大に関係することがあるとされています。その他にも、摩擦や刺激といった物理的な刺激もほくろの発生に関与する可能性があります。
ほくろとメラノーマ:危険なほくろを見分ける方法
放置してはいけないほくろとメラノーマの違い
ほとんどのほくろは良性で特に治療の必要はありませんが、まれに悪性の皮膚がんであるメラノーマ(悪性黒色腫)の可能性があるほくろも存在します。メラノーマは、メラニン色素を作るメラノサイトが悪性化したもので、進行が早いと転移して命に関わることもあるため、早期発見が非常に重要です。ほくろとメラノーマの区別は、専門医でも難しい場合がありますが、ご自身で日常的にチェックできるいくつかのポイントがあります。
良性と悪性のほくろを見分ける「ABCDE」チェックリスト
ほくろがメラノーマかどうかを判断するための国際的な基準として、「ABCDE」というチェックリストがあります。高知市内にお住まいの皆さまも、この基準を参考に、ご自身のほくろを定期的に観察してみてください。
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A:Asymmetry(左右非対称性):良性のほくろは円形や楕円形で左右対称なことが多いですが、メラノーマは形がいびつで左右非対称です。
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B:Border irregularity(境界の不規則性):良性のほくろは輪郭がはっきりして滑らかですが、メラノーマは境界線がギザギザしていたり、滲み出たようになって不鮮明です。
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C:Color variegation(色の濃淡のムラ):良性のほくろは色が均一ですが、メラノーマは黒、茶、赤、白、青などが混ざったように色が不均一でムラがあります。
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D:Diameter over 6mm(直径が6mm以上):良性のほくろは6mm以下の小さいものが多いですが、メラノーマは直径が6mmを超えていることが多いです。もちろん、6mm以下でもメラノーマの可能性はありますが、目安として覚えておきましょう。
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E:Evolving(変化):ほくろの形、大きさ、色、盛り上がり方などが、短期間(数ヶ月~1年程度)で急に変化する場合や、出血、かゆみなどの症状が出てきた場合は、特に注意が必要です。
このABCDEの項目に当てはまるほくろがある場合は、自己判断せずにすぐに皮膚科を受診しましょう。
ほくろの除去:治療のメリットとデメリット
ほくろを除去するメリット
ほくろの除去は、美容的な改善だけでなく、健康上の安心感にもつながる行為です。
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美容的な改善による自信の向上:顔や目立つ場所にあるほくろは、患者様にとって大きなコンプレックスの原因になることがあります。除去手術によりほくろがなくなり、見た目が改善することで、人前での自信を取り戻し、積極的な社会生活を送れるようになるという大きなメリットがあります。
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悪性化の懸念を根本から排除できる:前述のメラノーマとの鑑別が難しいほくろや、繰り返し刺激を受けているほくろは、念のため除去し、組織検査を行うことで、悪性の可能性を完全に否定できます。これにより、「このほくろは大丈夫かな?」という不安から解放され、精神的な安心を得ることができます。
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日常のわずらわしさの解消:特に盛り上がったほくろの場合、ひげ剃りや洗顔、化粧の際に引っかかって出血したり、痛みを感じたりすることがあります。除去することで、そうした日常生活におけるわずらわしさがなくなり、より快適に過ごすことができるようになります。
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再発のリスクの低減:特に外科的な切除による除去は、ほくろの母斑細胞を皮膚の深い部分まで完全に切除するため、再発のリスクを非常に低く抑えることができます。これは、表面的な処置では達成しにくい、根本的な治療のメリットです。
ほくろの除去におけるデメリット
ほくろの除去には、いくつか注意すべきデメリットやリスクも存在します。
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傷跡(瘢痕)が残る可能性がある:ほくろを除去した後は、手術やレーザーの種類に関わらず、程度の差はあれ、必ず傷が残ります。特に、盛り上がりの大きいほくろを切除した場合や、体質によってはケロイドや肥厚性瘢痕と呼ばれる目立ちやすい傷跡になるリスクがあります。これは、治療後のケアによって最小限に抑えられますが、完全に傷跡をゼロにすることはできません。
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除去費用が保険適用外になる場合がある:ほくろの除去は、悪性の疑いがある場合や、生活に支障をきたしている場合を除き、多くは美容目的と見なされ保険適用外の自由診療となることがあります。そのため、除去費用が高額になる可能性があり、治療を受ける前に費用の確認が必須となります。
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施術後に色素沈着や再発が生じる可能性:特にレーザーでほくろを除去した場合、術後の一時的な色素沈着(戻りジミ)が生じることがあります。また、レーザーでは母斑細胞を完全に破壊しきれず、数ヶ月から数年後にほくろが再発してしまうリスクも考慮しなければなりません。
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ダウンタイムとアフターケアが必要になる:ほくろの除去後には、傷を治すためのダウンタイムがあり、数日から数週間にわたり、軟膏の塗布やテープでの保護といったアフターケアが必要です。この期間中は、患部を濡らさないようにする、紫外線を避けるなど、生活に一部制限がかかるというデメリットがあります。
ほくろの具体的な治療法と高知市での受診の検討
主なほくろの除去方法:レーザーと切除
ほくろの除去には、主にレーザー治療と切除手術の2つの方法があります。どちらの方法を選択するかは、ほくろの大きさ、深さ、悪性の疑いの有無、そして患者様のご希望によって決まります。
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炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)による治療:
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方法:ほくろを熱で蒸散させて削り取る方法です。
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特徴:盛り上がったほくろに適しており、手術に比べて傷が小さく、出血が少ないというメリットがあります。しかし、深く削りすぎると傷跡が残りやすく、母斑細胞が皮膚の深い部分に残ると再発しやすいというデメリットもあります。
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外科的切除手術:
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方法:ほくろ全体を、周囲の皮膚を含めてメスで切り取り、皮膚を縫い合わせる方法です。
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特徴:悪性の疑いがある場合や、直径が6mm以上の大きなほくろ、再発したほくろなどに適用されます。ほくろの細胞を完全に除去できるため、再発のリスクが最も低いのが最大のメリットです。しかし、切除後に縫合するため、レーザーに比べて線状の傷跡が残るというデメリットがあります。
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高知市でほくろの除去を検討する際のポイント
ほくろの除去を検討する際、最も重要なのは、そのほくろが良性か悪性かを正確に診断することです。
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皮膚科専門医のいるクリニックを選ぶ:ほくろとメラノーマの鑑別には、ダーモスコピー(特殊な拡大鏡)を用いた専門的な診断が必要です。当院のような高知市で地域に根ざした皮膚科クリニックでは、日常的に多くのほくろを診察しており、正確な診断を下すことが可能です。
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治療法の選択を相談する:ほくろの種類によって、最適な治療法は異なります。レーザー、切除、それぞれのメリット、デメリットを理解し、傷跡のリスクや再発の可能性について医師と十分に相談してから治療法を決定しましょう。
私の経験では、「小さなほくろだから」と自己判断して放置していたものが、実は悪性のメラノーマであったケースもわずかながら経験しています。「ABCDE」のいずれかに当てはまる、または「急に変化してきた」と感じるほくろがあれば、まずは高知市の島崎クリニックにご相談ください。
まとめ
ほくろは、多くが良性の色素性母斑ですが、紫外線などの影響でできたり、メラノーマという悪性の可能性があるため、注意が必要です。ご自身のほくろを定期的にチェックし、「ABCDE」のサイン(左右非対称、境界の不規則性、色のムラ、直径6mm以上、変化)に当てはまる場合は、速やかに皮膚科専門医の診察を受けてください。ほくろの除去は、美容的な改善や悪性の不安解消という大きなメリットがありますが、傷跡のリスクや費用などのデメリットも理解した上で、レーザーか切除か、最適な治療法を選択することが重要です。
本記事をお読みいただきありがとうございます。何かご不明な点や、お悩みがございましたら、高知市の島崎クリニックにお気軽にご相談ください。