■~膀胱がんについて~
こんにちは!高知市の島崎クリニックの院長島崎です。
「もしかして、膀胱がんかもしれない」と、ご自身の症状や大切なご家族の健康について、不安な気持ちを抱えてはいませんか?特に尿の色がおかしい、頻繁にトイレに行きたくなる、排尿時に痛みがあるといった症状があると、「このまま様子を見ていていいのだろうか?」と心配になりますよね。
この記事では、そんなあなたの不安を少しでも和らげられるように、膀胱がんの基礎知識から、症状、原因、具体的な検査方法、治療法まで、分かりやすく丁寧に解説していきます。この記事を読めば、膀胱がんとはどんな病気なのか、どんな症状が出たら病院に行くべきなのか、そしてどんな治療があるのかが具体的に分かります。
現在、ご自身の症状に不安を感じている方、ご家族に膀胱がんの疑いがある方が、この記事を読んで少しでも安心して、適切な行動を取るきっかけになれば幸いです。
膀胱がんとは?その特徴と種類を解説
「膀胱がん」と聞くと、とても深刻な病気だと感じるかもしれません。しかし、早期発見できれば比較的治りやすいがんであり、その特徴を正しく理解することが大切です。膀胱がんは、膀胱の内側を覆う尿路上皮と呼ばれる粘膜から発生する悪性腫瘍です。日本では、男性に多く見られるがんで、罹患率は年齢とともに上昇する傾向があります。
膀胱がんの種類と進行度
膀胱がんは、その組織型や進行度によっていくつかの種類に分けられます。最も多いのが「尿路上皮がん」で、膀胱がん全体の90%以上を占めます。この尿路上皮がんは、さらに「筋層非浸潤性膀胱がん」と「筋層浸潤性膀胱がん」の2つに大別されます。
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筋層非浸潤性膀胱がん****:膀胱の内側の粘膜や粘膜下層にとどまっており、膀胱の筋肉(筋層)にまで及んでいないがんです。内視鏡手術で切除できることが多く、比較的早期のがんに分類されます。私たちがこれまでに診てきた患者様の中には、この段階で発見され、治療後も元気に過ごされている方がたくさんいらっしゃいます。
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筋層浸潤性膀胱がん****:がんが膀胱の筋層にまで深く入り込んでいるがんです。このタイプは転移のリスクが高く、より積極的な治療が必要となります。
膀胱がんの原因と見逃せない症状
膀胱がんの原因は完全に解明されているわけではありませんが、いくつかの危険因子が知られています。特に喫煙は最大の危険因子であり、喫煙者は非喫煙者に比べて膀胱がんになるリスクが約3倍も高いとされています。また、職業上、特定の化学物質(染料やゴム製品など)に長期間さらされる方もリスクが高いと言われています。
膀胱がんを疑うべきサイン:血尿とその他の症状
膀胱がんの最も特徴的な症状は血尿です。血尿には、目で見ても明らかに分かる「肉眼的血尿」と、尿検査で初めて分かる「顕微鏡的血尿」があります。
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肉眼的血尿:突然、尿の色が赤やピンク色、あるいはコーラのような褐色になります。痛みがないことが多いため、かえって放置してしまう方も少なくありません。私の経験では、ある患者様が、いつも通りトイレに入ったところ、突然真っ赤な尿が出て驚き、慌てて来院されたことがありました。幸い、早期発見につながり、適切な治療を受けることができました。この血尿は、出たり止まったりを繰り返すことも特徴の一つです。
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排尿時の症状:血尿以外にも、頻繁にトイレに行きたくなる頻尿、排尿後もスッキリしない残尿感、排尿時の痛み(排尿痛)などの症状が見られることがあります。これらの症状は、膀胱炎など他の病気でも見られるため、自己判断せず、泌尿器科での詳しい検査が重要です。
膀胱がんの診断と治療法
膀胱がんの疑いがある場合、泌尿器科ではいくつかの検査を行います。正確な診断があってこそ、適切な治療方針を立てることができます。
診断のための具体的な検査方法
診断は、問診から始まり、尿検査、超音波検査、膀胱鏡検査など、段階的に進められます。
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尿検査:尿の中にがん細胞がないかを調べる「尿細胞診」を行います。これは比較的簡便な検査で、膀胱がんのスクリーニング(ふるい分け)に役立ちます。
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超音波検査:お腹の上から超音波を当てることで、膀胱の中の腫瘍の有無や大きさを確認します。体への負担が少なく、手軽に行える検査です。
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膀胱鏡検査:最も重要な確定診断のための検査です。尿道から細い内視鏡を挿入し、直接膀胱内を観察します。腫瘍の位置や形、大きさ、数を詳しく確認でき、必要に応じて組織を一部採取(生検)して、病理診断を行います。
膀胱がんの主な治療法
膀胱がんの治療は、がんの進行度や患者様の状態によって多岐にわたります。ここでは主な治療法をいくつかご紹介します。
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経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)****:筋層非浸潤性膀胱がんに対する標準的な治療法です。尿道から内視鏡を挿入し、腫瘍を電気メスで切除します。お腹を切る必要がないため、患者様の負担が少ないのが特徴です。私のクリニックでも、この治療を受けた後、短期間で退院し、日常生活に戻られた患者様が多くいらっしゃいます。
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薬物療法(BCG注入療法など):TURBT後、再発予防のために行われる治療法です。BCG(ウシ型結核菌)を膀胱内に直接注入することで、免疫細胞を活性化させ、がん細胞を攻撃させます。
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膀胱全摘除術:筋層浸潤性膀胱がんなど、進行したがんに対する治療法です。膀胱をすべて摘出する手術で、多くの場合、尿路変更術(ストーマ造設や新膀胱造設など)も同時に行われます。
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化学療法(抗がん剤治療):手術が難しい場合や、他の臓器に転移がある場合に行われます。複数の抗がん剤を組み合わせて投与することで、がん細胞の増殖を抑えます。
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放射線療法:高エネルギーの放射線をがんに照射して、がん細胞を破壊する治療法です。手術が難しい方や、膀胱温存を希望される方に行われることがあります。
これらの治療法は、患者様の状態を総合的に判断し、最も効果的で負担の少ない方法が選択されます。
膀胱がんの予防と早期発見の重要性
膀胱がんは、いくつかの予防策と早期発見の意識を持つことで、リスクを減らすことができます。特に高知市にお住まいの方や、ご家族に膀胱がんの経験者がいる方は、日頃から意識しておくことが大切です。
予防のための具体的な方法
最も効果的な予防策は禁煙です。喫煙習慣がある方は、今日からでも禁煙を始めることを強くお勧めします。また、バランスの取れた食生活や適度な運動も、全身の健康維持に繋がり、がん予防に役立ちます。
早期発見のためのセルフチェック
膀胱がんの早期発見には、血尿の有無に気づくことが非常に重要です。もし、ご自身の尿がいつもと違う色をしている、あるいは排尿時に違和感がある場合は、迷わず医療機関を受診してください。特に、痛みがない血尿は放置しがちですが、それは膀胱がんの可能性を示唆している場合があるので、決して軽視しないでください。
まとめ
この記事では、膀胱がんについて、その種類や原因、代表的な症状である血尿、そして診断から治療法までを詳しく解説しました。膀胱がんは、早期に発見し適切な治療を行えば、克服できる可能性が高い病気です。
ご自身の身体の変化に耳を傾け、少しでも気になる症状があれば、放置せずに泌尿器科を受診することが何よりも大切です。早期の段階で専門医に相談することで、適切な検査を受け、安心して治療に臨むことができます。
本記事をお読みいただきありがとうございます。何かご不明な点や、お悩みがございましたら、高知市の島崎クリニックにお気軽にご相談ください。